15年間、応援ありがとうございました

SPECIAL TALKスペシャル対談

アークス15年間を共に歩み、二人三脚でチーム作りを行なってきた二人が、知られざるエピソードを交えて振り返ります。

スペシャル対談 ※2022年6月20日 対談実施

シャイニングアークスとしての最後のシーズンが終わり、新チーム・新体制として新たなスタートを切るにあたり、長年チームと共に歩んできた黒木直之シニアアドバイザーと内山浩文ゼネラルマネージャーによる、15年間に渡るチームの歴史を振り返る対談を行いました。


シャイニングアークス設立経緯

黒木:

当時私はNTT東日本ラグビー部総監督をやっていたのですが、NTTコム社長であった和才さんに社員が一つになれるものが欲しいとの思いがあって、シャイニングアークス設立の起点となりました。

和才さん自身、高校時代には体育の授業でラグビーをやっていましたので、ラグビーに対する強い思いがあり、またプレーヤーだけではなく周囲を含めて一つになる力というものをわかっていらっしゃいました。

和才さんがそういう強い思いを持ってNTTラグビー連盟名誉会長の児島さんに相談に行き、NTT東日本の当時副社長であった古賀さんもラグビーに対する思い入れがあったので、話が進みました。

その当時のNTT東日本はトップチャレンジリーグでも上位には行っていましたが、本当の意味でのシンボルチームでは無かったので予算的にも厳しく、もしこれ以上強くなっても持ち堪えられないという認識もありました。

そういう状況で当時NTTコム経営企画部長の澤田さんがNTT東日本に話に行って設立に至ったという経緯です。

そして話を進めていく中で、NTTコム・ヒューマンリソース部部長の前澤さんの了承のもとにヒューマンリソース部が受け皿になると決まりました。

スペシャル対談

NTTコム・ラグビー部として
統合されるということを聞いた
選手の反応

黒木:

それまでのラグビー部活動は身銭を切ってやっていたところもあったので、もっと上を目指せる環境になるならばということで、みんな前向きでした。

それ以前にもNTT東京とNTT神奈川が統合してNTT東日本になった経験もあったので、それで良くなるとわかっていましたので、NOという反応は無かったですね。

そこから1年以上の準備期間がありました。

2007年の新チーム設立を前提にして、福島のJビレッジで合宿を行い、選手たちに転籍するかどうかの意識確認を行い、その結果に基づいて新チームの準備を始めました。

青梅橋グラウンドから
二俣グラウンドへの移転

黒木:

シャイニングアークス設立の時点で、すでに二俣グラウンドの整備は始めていました。NTT東日本ラグビー部をNTTコムに移管するという話が出る前から、青梅橋グラウンドは閉鎖して二俣に移転するという話はありました。それで初年度の1年間だけは青梅橋グラウンドで活動しました。

青梅橋グラウンドの頃は、仕事が終わって18時半ごろからの「部活」でした。
冬になると霜柱が立って、練習が終わって帰るのが22時過ぎぐらいになっていました。

二俣グラウンドに移ってからは、社員選手は午前中仕事して15時から練習開始といった具合になりました。

スペシャル対談

チーム設立から3年での
トップリーグ昇格という目標設定

黒木:

私が決めました。チーム設立の年に大学新卒で君島良夫や友井川拓等の有力選手を採用できたこともあり、翌年も採用の目処が立っていましたので、このまま練習環境を整えられればできるとの思いはありました。また、確実に達成できるように会社にお願いして日本代表経験者の中山浩司、栗原徹と現在のGM内山浩文を採用しています。

内山:

約束通り、3年でトップリーグ昇格しましたね。またそこからトップリーグ昇格後の定着を考えると、学生の採用をしっかりしていかなくていけないという考えがあって、昇格した年の2010年に採用担当という役職ができたんですよね。

黒木:

それまでは私がGMの傍ら採用もやっていたのですが、頻繁に大学に足を運ぶわけにはいきませんでした。一方有力チームにはリクルーターがいて、毎日顔を出しているような状況があり、良い選手を採用するには専門のスタッフが必要との考えで「採用担当」スタッフ職を設けました。

それで、2008年にラグビー選手を引退し社業を行っていた内山を呼び戻しました。それはリクルーターにはビジョンを語れる人材が必要との思いからでした。

内山:

いやー、寝耳に水だったですよ(笑)。選手を引退して社業をしていた当時の上司から「ラグビー担当に異動」と言われてびっくりしました。

スペシャル対談

黒木:

採用担当として内山に来てもらったことは、全然間違いじゃ無かったですね。そこから内山に各有力大学に熱心に通ってもらって、いい選手を採れるようになりました。

内山:

トップリーグ昇格後もいかに降格しないで定着できるかということは考えていました。一度昇格してもすぐに落ちてしまい、そこからは上がれなくなるというチームの例を見てきましたので。そのために主要大学のキャプテンクラスを採りにいきました。
結構大変でした。とにかく毎日いろんな大学に通っていましたから。

強化のためが第一でしたが、その選手に紐づいているファンが多いかどうかということも考えていました。

黒木:

もう一つは他チームからの情報を精査して準備し、2010年にトップリーグ経験の豊富な移籍組として齊藤展士や木曽一、小林訓也、岡健二、石神勝、山下大悟といった選手たちを補強したことも大きかったと思います。

内山:

その当時のことを思い起こすと、今回のNTTグループラグビー部再編成による新チーム結成でも、いろんな選手が混ざってくることによってチーム内にさまざまなブレは生じると思います。チームの融合には、それなりの時間がかかるもんだなというその時の経験はあります。

黒木:

やっぱりそういう経験を持った選手がいるのといないのとでは全然違うので、必要だったと思います。

内山:

そこから採用担当の専任化がスタートして、以降大学トップクラスの選手たちの採用に成功し、現在の基盤ができました。

とにかく他社とのディスカッション、学生に対しては徹底的にリサーチして、アプローチしてきました。

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2014年、ロブ・ペニーHC起用

内山:

たくさん入ってきたいい選手を自分たちのスタイルで強化していきたいという思いが、ロブ・ペニーHCの起用につながりました。

黒木:

ロブが選手に考えさせることをずっと植え付けていましたね。やっぱり、やるのは選手だから。選手に問いかけて答えさせて、そこで選手の意識を変えたと思いますね。

内山:

当時ロブはヨーロッパ最優秀コーチ賞を取ったばっかりの一番旬なコーチでした。それと外国人周りのマネージメントが上手で、最大限のパフォーマンスを発揮させていましたね。エルトン・ヤンチース選手なんかもその中で成長して南アフリカ代表選手に返り咲きましたよね。

またその中で、金(正奎)、羽野、石橋、小倉といった若手選手が日本代表に選出されるまでに成長してくれました。

チームのラグビースタイルが確立されて、それにフィットした選手も入ってきてくれたので、ロブ・ペニーHC体制下では安定した力を示してくれました。

黒木:

新人がすぐ公式戦に出たりもしましたね。

内山:

ロブは、選手の育成にすごく定評があったコーチだったので、チームが求めていたことと、コーチのやり方がすごくマッチしていたんだと思います。

あとは、大久保コーチとか栗原コーチとか、本来は上に立つような人が参謀にいたということで現場全体のマネージメントがうまく行っていたということもあったかもしれませんね。

その時代が、シャイニングアークスとしてのターニングポイントだったかもしれません。

ロブの5年間で5位を2回取って、ベスト4までもう一歩というところまできました。

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そこから更なるステップアップを
目指したが

内山:

そこからロブだけに頼らずに確立されたスタイルを継承しようというフェーズに入りましたが、少し足踏みしてしまったかもしれませんね。

黒木:

ある程度チームのスタイルができたと思って、もうひと伸びするために違う指導者もいいのかなと思って次の指導者に託しました。

内山:

またそのタイミングで大久保コーチと栗原コーチが新しいチャレンジをしたいということでチームを離れた影響もありました。それでコーチ陣の陣容を変えるタイミングに来たのかなという思いもありました。ただスタイルを変えないために今までロブと一緒にやってきたリースにヘッドコーチを託しました。

そこからの2シーズンはコロナ禍もあって試合数も減らされ、外国人選手の離脱もあって少し低迷してしまいました。

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チームは生き物

内山:

そう振り返ってみると、やっぱりチームは生き物ですね。何をどう改善すればいいか、全く正解が無いじゃないですか。そして一度歯車が狂い出すとすぐには戻せないですね。

黒木:

昨シーズンは最高のスタートを切って、2戦目のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦もそれほど悪くは無かったのですが、やっぱりその後コロナ感染で2試合連続中止になったことが大きかったですね。

内山:

それからもう一度コロナで中止になり、NTTグループラグビー部再編成の話があって気持ちの部分で影響があったり、要の選手たちに怪我人が増えてしまったり、うまく波に乗ることができませんでした。いろんな要因が重なって、パフォーマンスに一貫性が無かったということはあったかもしれませんね。

チーム作りは難しいと、改めて思いましたね。

黒木:

事実は事実として受け入れて、もう次に向かっていかないといけないので、1年できっちりと結果を出せるように内山GMの下で全員がやっていくということが一番大事だと思いますね。

内山:

若い選手たちも育って来ていますしね。竹内柊平なんか、わずか2年で日本代表ですよ。すごいポテンシャルを持っていますよね。若い選手たちはモチベーションも高いし、楽しみな選手は多いです。

昨シーズンに苦労したことは、チームを更に強くするために必要なことだったかもしれませんね。こういうことを経験値として貯めていかないと本当の強さは身につかないのかもしれません。

黒木:

なんでもそうだけど、積み重ねていくしか無いんですね。それは選手だけでなく、我々マネージメント側もそうなんだと思います。

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ラグビー界のゲームチェンジャーに

内山:

この間もリーグワンの社会貢献部門で賞をいただいたり、地域との密着活動や健康生活などの社会課題に対するアプローチだったり、ラグビー以外のところでも色々と選手は成長していっていると思います。

企業スポーツの概念を変えていきたいと思っています。働きながら社会貢献もできて、それが地方創生・活性化に寄与できてるって言えるように。

内山:

今年はファン目線での施策もたくさんやってきました。オリエンタルランド、船橋屋との共創だったり、JALラグビーナイトを催したり、deleteC活動を継続したり。

黒木:

ラグビー部を運営する新会社もできたし、文科省が学校での部活動に関して段階的に地域単位での取り組みに移行していく方針も打ち出したので、引退後の選手もスポーツの分野でもっともっと活躍するチャンスが増えてくると思いますね。

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新チームへの展望

内山:

1、2ヶ月間はお互いを知り合って関係性を高めていくことにフォーカスして、いろいろなチームビルディングが必要になってくるでしょうね。

また、自分たちのマインドなどもチームの中だけに閉じないで、地域の方々やスポンサーの方々、パートナーの方々などに対してオープンにしていくことも必要になってくると思います。

ファンはチームメイトだし、家族もチームメイトという気持ちでチーム作りをしていかないといけないと思っています。

例えば、普段の日でもファンの皆さんがこのアークス浦安パークに遊びに来てもらえるようにしていきたいですね。

新シーズンをD2リーグで戦っていく上では、メンバーの固定化を避けていった方がいいかなと思います。対戦相手をよく分析して、自分たちの目指すラグビーを確立するために、誰が出ようとも最大のパフォーマンスが出せるようにしていく必要があると思います。毎試合毎試合サプライズのあるメンバー構成になれば、選手層も厚くなると思いますし。次のシーズンは、いろんなチャレンジができると思います。

黒木:

昨シーズン怪我人が多い中で戦って、もっと底上げが必要だと実感しましたね。

内山:

その上でターゲットを順位決定戦と入替戦において、そこに向けて逆算してしっかりとチームを作っていくことが次のシーズンの課題だと思います。

D1に昇格することだけでなく、その2年後日本一を目指せるようにどうやったらD1の上位に定着することができるか重要になってくると思います。

でも本当に簡単じゃないです。組織運営という意味でも。考え方も国籍も違う大人数の選手やスタッフをひとつにしてモチベーションを上げていくって、本当に難しいです。

簡単では無いのですが、選手・スタッフ共に新たなメンバーで一丸となってやっていきます。
ぜひ新チームにも変わらぬ応援をお願いします。

皆さん、またラグビーで会いましょう。

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