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スピンオフレポート

アークス戦士が福島の中高ラガーを指導! / アークス戦士が福島の中高ラガーを指導!

福島合宿最終日の5月11日(土)、
福島・Jヴィレッジで、地域交流とラグビーの普及を目的としたラグビークリニックが行われました。

アークスからは選手約20人が参加。他の選手は、東京電力廃炉資料館(福島・富岡町)を見学し、事故の事実や廃炉の現状などについて学びました。

クリニックに参加した選手※1は、午前中に5日間の厳しい合宿トレーニングを終えたばかり。

しかし快晴の正午、喜連航平選手の司会で始まったクリニックでは、みな大きな声で雰囲気を盛り上げ、交流と指導を楽しんでいました。

※1 アマナキ・レレイ・マフィ、池田悠希、石井魁、石井勇輝、石橋拓也、大芝優泰、小倉順平、金嶺志、喜連航平、斉田倫輝、齊藤剣、張容興、鶴谷昌隆、平井将太郎、ブラッキン・カラウリアヘンリー、前田土芽、松尾将太郎、三浦嶺、光井勇人、安田卓平、山口達也、レイルアマーフィー(五十音順)

クリニックに参加したのは福島県の中高生102人。

福島県内の5つの高校ラグビー部から92人(磐城高校、磐城農業高校、平工業高校、勿来工業高校、松韻学園福島高校)。中学生も10人が参加。女子選手は12人いました。

正午に始まったクリニックでは、まず約100人の参加選手が4つのグループに分かれ、グラウンドの4カ所でスキル練習!

ひとつ目のスキル練習は、石井(勇)選手が説明を担当する「片手でのオフロードパス(相手と接触しながらのパス)」。

これは「フリックパス」と呼ばれる、手首を返して片手一本でパスをする、難易度の高いパススキルです。

難しいパスに中高生は苦戦!
しかし成功する選手もおり、このセクションで指導したアマナキ選手、石橋選手、齊藤選手、松尾選手も笑顔で声援。

ルーキーの松尾選手らも、慣れた様子で生徒たちへたくさん声を掛けていました。

2つめのスキル練習は、2年目の池田選手が説明する「ラックでの寝方」。
アタックで相手に当たったあと、すぐに寝るのではなく、相手にボールを奪われないため、ワンアクションで「ほふく前進」。それから後方へボールを置くという、とても細かいスキルです。

「これは僕たちもとても大切にしているスキルです。ぜひ学んで、練習や試合で活かしてください」(池田選手)

クリニック後に或る高校生が「個人的にラックでの寝方が一番勉強になりました」。
日本トップレベルのチームが実戦するスキルに、生徒たちは熱心に取り組んでいました。

指導したのは池田選手に加えて、三浦選手、新加入の張選手、大卒新人の山口選手、安田選手です。

3つ目のスキル練習は、1対2の状況を活かす練習。光井選手、石井魁選手、レイルア選手、金(嶺)選手、斉田選手が担当しました。

まずボールを持った選手は相手をしっかり引きつけて、横の味方へパス。
パスを受ける側はしっかり声を出して、情報を伝えることが大事です。

バックスである光井選手、石井魁選手は「オッケー!」「良いね!」など、生徒たちにたくさんの声掛け。
みんな熱中しながら、自然と笑顔に。

そして4つ目、最後のスキル練習は、4人が横に並んでのパス練習。
鶴谷(昌)選手が明るく大きな声でリードし、小倉選手、ブラッキン選手、平井選手、ルーキーの前田選手も指導にあたりました。

「みんな思っていた以上に上手いから、ボールを一往復させてみよう!」

鶴谷選手が選手の上達ぶりを見て、練習メニューの難易度を上げます。
選手たちも指導側としての立場を思いきり楽しんでいました。

また、ラグビー初心者という生徒たちのための初心者コースも。
ここは主に斉藤アシスタントコーチが担当。

ラグビーボールに慣れてもらうため、パスをメインとした楽しいボールゲームを行い、ラグビーの楽しさを伝えていました。

クリニック最後のメニューは、ポジション別に分かれて練習!
そのポジションのスペシャリストたちが指導にあたりました。

フォワード選手は、スクラムとラインアウトをみっちり指導!
ニュージーランド帰りの平井選手が、まずはスクラムの基本姿勢を指導。

膝の角度、上半身と地面の関係など、正しいスクラム姿勢を伝え、生徒たちはすぐ実践。
人を背中に乗せたまま姿勢を保つ運動など、フォワードはクリニックの練習もやっぱり大変でした!

バックス選手は、スクラムハーフ、スタンドオフ、センター、バックスリー(ウイング&フルバック)に分かれて指導。

スクラムハーフの担当はもちろん光井選手。
パス練習の仕方から、手の伸ばし方など具体的なパススキルまで、丁寧に指導していました。

スタンドオフは小倉選手、喜連選手、松尾選手。
キック時のボールの持ち方、ボールの落とし方、足の出し方まで、こちらも丁寧に指導。

センターは4選手(石橋、ブラッキン、池田、前田)。ゴールポストを相手に見立ててのパス練習など、こちらも実践的なメニュー。

バックスリーはこちらも4選手(石井魁選手、石井(勇)選手、張選手、安田選手)。
ハイボールのキャッチではかならず脇を締める、など、細かいスキル指導を行っていました。

そして笑い声もたくさん響いたクリニックは無事終了!
参加者や選手も全員が整列し、最後はアークスメンバーへの質問タイム。

中高生からの質問には、主にレイルア選手が流暢な日本語で回答。

Q「一番きついウエイトメニューはなんですか?」
A「アームとクロスフィットです」

Q「握力はどれくらいですか?」
A「100くらいです」

Q「毎日どれくらい食べていますか?」
A「ごはん3杯」

Q「ベンチプレスは最高何キロ上がりますか?」
A「160キロです」

ただ「どうやったらキレのあるステップを踏めるようになりますか?」という質問には、やはりプロップのレイルア選手は難しく、ここはウイングの石井(勇)選手が回答。

「どれくらいステップを切りたいかという気持ち――。気持ちはすごく大事なので、ステップを切ってトライを獲るぞという気持ちを大きくすれば、良いステップが切れると思います」(石井(勇)選手)

この迷回答(?)にチームからは「今ので大丈夫!?」の声。

笑いの絶えない和やかなムードのなか、司会の喜連選手が「このように楽しく過ごせたのもみなさんのおかげです」と締め、クリニックは快晴のもと終了しました。

【参加選手の声】

●福島・平工業高校/ロックの猪狩選手

「練習で分からないことを知ることができて本当に良かったです。スクラムの練習で、『キツくなると足が上がってしまうので、そこで我慢すると強くなる』と教えてもらったことが印象的でした」

「これからの試合や練習試合で、このクリニックで覚えたことをしっかり活かしていきたいです」

●福島・勿来高校の蓬田選手

「自分の持っていないスキルを教えてもらって勉強になりました。パスの練習ではハンズアップから、次にパスを出す方向、素早さを磨くことができました」

「倒れ方とジャッカルされにくい寝方も教えてもらい、ラックは苦手だったので、とても勉強になりました」

最後は頑張った生徒達へ、アークスメンバーからドリンクが渡されました。

グラウンドでのクリニック終了後は、Jヴィレッジドーム廃炉資料館を訪れていた他のメンバーと合流。

まずは東京電力の原発事故の事実、廃炉の現状が分かるビデオを鑑賞し、廃炉資料館を訪れたメンバーから、佐藤大樹選手、シェーン・ゲイツ選手が感想を述べました。

「廃炉資料館を見学させて頂いて、(事故は)8年前で記憶から薄れていた部分がありましたが、あらためて事故の深刻さを実感しました」(佐藤選手)

「皆さんはここ何年か、気持ちを強く持って苦しい時期を過ごしていたと思います。皆さんの姿勢から見習って、これからのシーズンを戦っていきたいと思います。またここへ合宿や試合で帰ってきたいと思います。ありがとうございました」(ゲイツ選手)

ピッチ内外でさまざまな価値を生み出すラグビーチームとして、選手たちは新たな経験を積むことができた様子。

最後は、チームからジャージとサインボールの贈呈。
クリニックと地元の方々との交流は盛況のうちに幕を閉じました。