ワールドカップ日本大会で優勝した南アフリカ代表の主力が新加入!
25歳にして「世界最強フッカー」の呼び声が高い南アフリカのスターは、
高校代表、U20代表、A代表など早くから南アフリカの世代別代表に選ばれ、2016年9月、南アフリカ代表「スプリングボクス」にデビュー。
南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」では、10代でライオンズ(南アフリカ)に参加。
2017年シーズンは南アフリカの最優秀新人賞、最優秀選手賞、スーパーラグビーのMVPの3冠に輝きました。
ゴール前の攻防戦で力を発揮し、2018年はフォワードとして異例のシーズン12トライ。
仕事場のスクラムに加え、ボールを奪う「ジャッカル」も十八番。
丁寧にインタビューに応える姿も印象的な「世界のマークス」に迫りました。
25歳でW杯優勝を経験した南アフリカの至宝。
スクラム、ラインアウト、密集戦で力を見せる世界的スター。
チームのキックオフパーティーでは多くの人に囲まれ、大人気だったそうですね!
すごく嬉しくて、謙虚な気持ちになりました。支えてくれる皆さんに恩返しをしたいと常に思っています。
話す時間を作ったり、サインをしたり、写真を撮ることで、サポートしてくれることに対して感謝の気持ちを表したいと思っています。
アークスの本拠地である浦安市の印象は?
すごく良い所ですね。いろんな人から言われるのは、浦安は住むには一番良い場所だということです。
ここでプレーすることができて、とてもラッキーです。
日本に初めて来たのはいつですか?
2016年の開幕戦がサンウルブズ(スーパーラグビーの日本チーム)との試合でした。
その時に(ライオンズの一員として)東京でプレーしました。
お生まれから教えて下さい。
南アフリカのジャーミストンです。ヨハネスブルグのすこし外側の街で生まれました。
ラグビーは何歳から始めましたか?
11歳からです。通っていたプライベートスクールの小学校にラグビーチームがあって、ラグビーが好きでした。
プロになりたいと思ったのは、2007年のワールドカップで南アフリカが優勝したのを観た時です。
ラグビーを始める前はどんなスポーツを?
小さい頃から水泳をしていました。
高校では水球をやっていて、試合もしていました。
水球では代表になりましたか?
水球でヨハネスブルグの地域の代表に選ばれました。14歳以下と16歳以下です。
驚異的なパワーの持ち主と聞いていますが、学生時代の“怪力伝説”があったりしますか?
そういうものはありません(笑)。
学校の宿舎でいつも悪ふざけはしていました。いたずらっ子だったと思います。
ユース時代からスーパーラグビーの南アフリカチーム、ライオンズで育ちました。
そうです。13歳以下のチームから、今までずっとライオンズです。
ライオンズのチームメイトには、元アークスで南アフリカ代表のエルトン・ヤンチース選手(以下「エルトン」)がいますね。
エルトンはこのチームを「とても楽しかった」と言っていました。良い噂しか聞いていません。
シャイニングアークスのグラウンドは、ワールドカップ中にも(南アフリカ代表として)練習をしましたし、とても良い施設でした。
ワールドカップの準々決勝で戦った日本の選手たちは、南アフリカが「すごく準備していた」と驚いていました。入念な準備は事実ですか?
そうです。ただ日本戦だけではなく、ワールドカップを通して、全ての試合でオフ・ザ・フィールドでの準備をたくさんしていました。
日本戦ではラインアウトモールが効果的でしたね。
いつでもモールは組みたいですね。どんな位置からでもモールを組んで、ペナルティをとって、フィールドポゼッション(フィールド上でのボール支配率)を増やしていくことはやっていきたいです。
日本戦のモールは、セットがとても上手くいき、ワールドカップの中でもかなり距離を稼ぐことができました。
モールのアドバンテージは、他のチームに対してもありました。頑張って練習していたので、それをゲームプランの中で効果的に使っていこうと話していました。
本来ならばスタメンですが、ワールドカップではリザーブ出場が多かったですね。どんな意図があったのでしょうか?
チーム全体を見て、チームのために、ということでした。私としては、先発で出ても、リザーブから出ても、たとえ試合に出ていなくても―、チームのためになっていればそれでいいです。
リザーブから出場することに関して、ヘッドコーチから特別な指令はありましたか?
ベンチから出る選手は、相手が疲れてきた段階で、スピードをしっかりと出してプレーをする、ということでした。
一般的に言って、リザーブメンバーの役割は、ゲームにインパクトを与えること。特に明確な指示を受けていたわけではありません。チームのための決断でした。
ワールドカップで優勝した瞬間を振り返ってください。
言葉では説明しづらいですね。信じられなかったです。
最後の笛が鳴ったとき、膝から崩れ落ちました。ものすごく自分にとって謙虚になれる瞬間だったというか…。
言葉では説明できないですね。
南アフリカが優勝した2007年大会を見て、プロになることを夢・目標にして、2019年大会では夢を与える側になりました。
2007年の時に自分が「プロになろう」と刺激を受けたように、自分が誰かに対して刺激を与えられたらと思います。
キャプテンは南アフリカ代表初の黒人主将、シヤ・コリシ選手でした。
彼は良いリーダーですし、オフ・ザ・フィールドでの人格も素晴らしいので、なるべくしてリーダーになった人です。
良い人間、良いプレイヤーであり、フィールド外では性格も良いし、フィールド内ではすべてを出し切る選手です。
彼は私のお手本です。
そして黒人のキャプテンとして、初めてワールドカップで優勝しました。
こうしたストーリーは、子供達にも大きな刺激を与えたと思います。
南アフリカ代表のムードメーカーというと?
たくさんいます(笑)。
マネジメントを含めてキャラクターが立っている人ばかりです。
チームのどの人といても楽しいですね。本当に良い経験でした。あのような長いツアーで一緒にいると、お互いにいろんなことについて知ることができます。
オフの日にはゴルフに行ったり、一緒に飲んだりすることがありました。同じチームで一緒に長い期間を過ごすことが、チームの成長に繋がったと思います。
ちなみに、ゴルフのベストスコアはいくつですか?
82です。でも一回だけです(笑)。
南アフリカではゴルフもしますし、仲間と川に行ってジェットスキーをしたりもします。
あとはブライ(Braai/南アフリカのバーベキュー)ですね。
アークスに入ろうと思ったきっかけは?
エルトンにも良いところだと聞いていましたし、今までと違うことを経験するチャンスです。
違う経験をして、違うことを学ぶことによって、自分の幅を広げたいと思いました。
アークスはスクラム強化に力を入れています。これまでと違いがあるのでは?
自分にとってはとても良いですね。すごく地面に対して低いスクラムですが、ライオンズの時も身長が低いプロップと組んでいて、そこでも低くすることはやっていました。
まだ自分のベストを発揮するために学んでいる途中です。
斉藤展士スクラムコーチの印象は?
彼はスクラムが大好きですね(笑)。「毎日スクラムしてほしい」と言っています。
スクラムに熱意のある人が教えていることはとても良いことだと思います。
強烈なジャッカル(ラック成立前にボールを奪うプレー)も代名詞のひとつです。なぜそんなにジャッカルが得意なのですか?特別なスキルがあれば教えて下さい。
自分の強みを増やすために、かなり練習した分野です。
ターンオーバーで勝ち取る確率を上げるために、チームのために自分のベストを尽くしています。
そこがフィールドのどこの位置であろうとです。効果的なジャッカルをすることは常に考えています。
アークスでは元チームメイトなど、個性的な選手がたくさんいますね。
日本人選手はみんな面白いので、一緒にいて楽しいです。けっこう笑える選手がいますが、たまに何を言っているのか分からないです(笑)。
南アフリカで一緒にプレーした(ロバート・)クルーガー、(シルヴィアン・)マフーザ、ヴィリー(・ブリッツ)もいます。初めて会う外国人選手もいますが、良い人達なので楽しいです。
来年1月からトップリーグが開幕しますが、対戦が楽しみな選手は?
南アフリカで対戦した選手がたくさんいますし、(代表やライオンズの)チームメイトもいます。
そういう選手とは対戦したいですね。
他の外国人選手に対して、自分を試したいという気持ちもあります。日本人選手と戦うことも楽しみにしています。
最後に、トップリーグで見てほしいプレーと、ファンへのメッセージをお願いします。
ファンの皆さんに自分が良いラグビーをしているところを見てほしいです。良いラグビーを見せれば、皆さんが「ラグビーをしてみたい」という気持ちになってくれたら、と思います。
ただ、まずはチームで活躍することです。チームの調子が良ければ、自分が良いラグビーができているということなので、多くのファンの皆さんをインスパイアすることができると思っています。
今日はありがとうございました。
Thank you guys.
アリガトウ。
マルコム・マークス