Special Interview

スペシャルマンスリーインタビュー

アークスで磨かれた「社会性」。ピッチ内外でパワーアップ中の選手会長

目崎啓志

選手主体の普及活動、地域貢献、SDGs(エスディージーズ)――。
グラウンド外の取り組みを選手、チームの成長に繋げているNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(以下アークス)。

2016年の入団以来、そうしたチーム活動で存在感を発揮し続けているのが5年目のフランカー目崎啓志(めざき・ひろゆき)選手!

獨協埼玉高-筑波大でプレーし、大学時代にはU20日本代表候補に選出。アークスではパワフルなロック、フランカーとしてプレーしています。

ピッチ外では家族向けの健康増進企画「MaPaSunday(マパサンデー)」を発案するなど、選手と会社員という2つの顔を持つ「アスリート社員」として活躍中。
頭脳明晰でイベントなどで中心的な役割を担うこともある知性派は、2019年に新選手会長へ。

アークスで「社会性」が磨かれたと語る目崎選手。
選手としても、社会人としても成長できるアークスならではの文化とは? また選手会長の仕事とは?

優しい笑顔が印象的な目崎選手に、アークスの魅力から自身のスランプ脱却まで、興味深いお話をオンラインで伺いました!(オンライン取材日:2020年6月12日)

他チームから羨望される「未来プロジェクト」。
社会性を磨くきっかけに

アークスは2017年に選手応援企画「未来プロジェクト」をスタート。目崎選手はイベント提案から実現まで様々な形で関わってこられましたね。

未来プロジェクト』は他チームの選手からも「良い取り組みだよね」と言われます。このプロジェクトのおかげで知見の幅が広がりました。

一般的に“自分達の未来を考える”という作業はキャプテンにならないとできないと思いますが、それを2年目からやらせてもらいました。そのおかげでいま選手会長に就かせてもらっていると思っています。

これまで『未来プロジェクト』から「MaPaSunday」「健康アクションウィーク」「ファン感謝祭」など様々な取り組みが生まれました。『未来プロジェクト』でイベントの企画、実行に関わった経験はラグビーにも活きていますか?

コミュニケーションの取り方ひとつにしても、社会性の高いチームは、主張に対して客観的に考えてから意見を交換することができます。

シャイニングアークスは「チームの決め事がこうだからしなきゃいけない」と鵜呑みするのではなく、自分流にプレーすることが多いのですが、そうした場面でも『未来プロジェクト』で培った能力、経験が活かされていると感じています。

目崎啓志選手

「未来プロジェクト」から生まれた健康促進施策「健康アクションウィーク」。
浦安での大イベントや日経シンポジウムへの参加のきっかけに

目崎啓志選手

サポーターの皆様に感謝の気持ちを伝える場として企画した「ファン感謝祭」

社会性が高い「大人のチーム」

社会性が高いチームの特徴は他にもありますか?

たとえば自分がメンバーに選ばれなかったりすると、選手はよく「コーチが悪い」という思考になりがちです。
でも社会性の高いチームは、自分が選ばれなかった理由を自らコーチへ聞きに行ったりします。

アークスでは選手が選ばれなかった理由を聞きに行く?

そういう時間をコーチが用意しているわけでもないんですが、選手が自分で考えて、自分から聞きに行っています。そういう行動ができる選手が多いですね。

なぜ選ばれないのかを人のせいにせず、まずコミュニケーションをしっかり取る。社会性を上げていくことで大人のチームになっていると思います。

特に2019年シーズンのカップ戦や、2020年シーズンのノンメンバーの雰囲気は良かったです。おのおの悔しさもあると思いますが、そこは出さずにチームのために行動する。
そうした一人ひとりの姿勢がとても良くなっています。『未来プロジェクト』で自分自身やチームのバリュー(価値)を考えてきたからこそだと感じています。

目崎啓志選手

「未来プロジェクト」が社会性を磨くきっかけに

スランプ脱出の契機は「原点回帰」

目崎選手の場合はいかがですか?

僕は1年目はレギュラーで、2年目にケガをしました。それからケガが続くこともあって、コーチとコミュニケーションを取るようにしてきました。

そこで「試合は良かったが、春シーズンのプレー時間が少ないのでもう少し見たい」という返答があれば、プレー自体は見てもらえていた、というベンチマークになります。

ちなみに今年で5年目ですが、スランプはありましたか?

選手としてのスランプは2年目のケガですね。3年目の終わりまで続いたので長かったですよ(笑)。

試合に復帰してゲームキャプテンもやりましたが、自分で整理ができず乗り越えられずにいました。

どのようにスランプを脱したんですか?

きっかけは原点回帰ですね

それまでは自分の特徴を難しく考えすぎていました。自分のことを「いろいろ判断してプレーする選手」だと思って、試合中に5つの選択肢からプレーを選んだりしていたんです。

ただ、自分の原点は何かと考えた時に、スランプを脱することができました。自信のあるプレーの中から選択するようになって、元の自分に戻れましたね。

2019年から選手会長に。調整役として活躍中

2019年にアークスの選手会長になったそうですね。

前任者の栗原大介さん(フランカー/9年目)から指名されて、2019年10月から引き継ぎました。

入社1年目からリーグ全体の選手会にも関わっていたので、いずれ引き継ぐかも知れないと思っていました。
ただ栗原さんから言われた瞬間は、今後はひとつひとつの行動により責任を持たなければ、と思いました。

選手会長にはどんな役割があるのでしょうか?

選手と会社、チームスタッフの間に入って活動します。
「会社」「チームスタッフ」「選手」という3者の関係がより円滑になるように間をとりもったり、選手に対しては自分たちの価値を高める行動を促したりしています。

選手会長になって自身に変化は?

最初はプレイヤーとして企画を考え、実現していこうと考えていましたが、若手選手も育ってきて、現在は選手が成長する機会をつくることも考えています。

たとえばイベント時に、ルーキーだった齊藤剣(プロップ/2年目)などに、スポーツ選手として参加者に伝えたいことをプレゼンテーションしてもらいました。
また現在は、選手会長として一人で活動してきたところを、新たに作ったベテラン、中堅、若手をミックスしたグループでリーダーシップを取っていこうとしています。

目崎選手の提案で選手会を大きくした?

そうですね。これまで1人称で活動することも多かったので、全体から公募し、7名のグループを作りました。
「規律」「改善」「繋ぎ」「成長」という4つの柱を立てて運営していく予定です。

地元・浦安でSDGs活動。地域密着に徐々に手応え

現在、ピッチ外ではどんな活動をしていますか?

個人的にはSDGsの一環として取り組もうとしている活動があります。別途皆さまにはオフィシャルサイト等でお知らせを予定しています。

選手が浦安市の清掃活動に参加している?

はい。みんな自主的にやっています。

新浦安の三番瀬(北東沿岸部)で海のゴミ拾いをしている団体に参加させてもらったり、浦安駅の周辺でもボランティア団体の方とゴミ拾いをしています。

2018年に浦安市が本拠地となってから、チームは地元でさまざまな地域活動をしてきました。浦安市の皆さんからの反響は?

地元の方がふらっとクラブハウスに来てくれるようになったり、地元保育園の子供達も立ち寄ってくれたりするようになりました。

クラブハウスに地域の子供達が来てくれたら嬉しいですね!

保育園の子供達が来たら、ラグビーボールを触らせてあげたりするなどして交流しています。

ああいう時間は大切にしたいと思いますね。共創、共生が感じられる瞬間です。ただ、抱っこは泣いてしまうこともあるのでしていないですね(笑)。

浦安市の皆さんには気軽にグラウンドに立ち寄ってもらいたい?

選手たちもそう思っています。
一方通行になって実感が湧かないというのではなく、自分達の目で実感できることにやりがいを感じます。

浦安市の皆さんにとって意味のある存在になりたいですし、なりつつあると思います。こうした活動を今後も続けていきたいです。

自粛期間中は会社員として成長

新型コロナウイルスの影響で思うように活動できない期間が続いていますね。

止まる時間が長いと次の一歩が難しいので、会社やスタッフのサポートもあって、今年度の未来プロジェクトについてなど、コロナ期間だからこそ話し合えています。

選手会長をするとチームの運営サイドと近くなりますが、クラブハウスにも行けずストレスが溜まりやすいなか、運営サイドは選手の悩みのためにいろいろと動いてくれていました。

自粛期間は会社員として精力的に活動していた?

社員選手はリモートで仕事をしていました。通勤時間がない分時間がたくさんあったので、自己啓発等にも時間を使っていました。

将来を見据えた「デュアルキャリア」をチームが応援

シャイニングアークスには、将来を見据えて選手以外のキャリアを積んでいく「デュアルキャリア」を応援してくれる環境があると感じています。

それぞれの価値観はありますが、僕自身はデュアルキャリアを経験できる場があるなか、それをしないのはもったいないと思っています。
正直なところ、デュアルキャリアをこれだけサポートしてくれるチームは少ないと思っています。

サポートの仕方も、選手と仕事をぶつ切りにせず、「ラグビー選手だから発揮できる力」にこだわっています。選手も仕事も同じ規格、という感じですかね。

ラグビー選手というエネルギーが、選手と仕事という同じ型のタイヤにしっかり伝わって、両輪で進んでいけるような成長はできていると感じています。このチームに入って良かったとあらためて思います。

最後になりました。ピッチ内の目標と、ピッチ外の目標をそれぞれ教えて下さい。

ピッチ内ですと、試合に出場することは当然の目標です。
チームのかゆいところに手が届くような選手になりたいですね。当たり前のことは当たり前にやりつつ、自分の個性を出していけたら思います。

ピッチ外の目標ですが、まだ選手会長という立場に何が必要なのかを完璧に整理、実行できていません。
みんなと協力しながら、チームのバリューを高められる行動を起こせる人になれたら、と思っています。

本日はありがとうございました!

ありがとうございました。