Special Interview

スペシャルマンスリーインタビュー

未曾有のシーズンを送るアークスの現在。

金正奎

「今シーズンは好調だっただけに残念です」

そう語るのは、NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(以下アークス)のフランカー(FL)金正奎キャプテン。

世界で流行する新型コロナウイルスの影響により、3月23日、日本のラグビー国内最高峰リーグ「トップリーグ2020」の中止が公表されました。

4勝2敗でリーグ5位(勝点19)につけていたアークスですが、リーグ不成立となったため順位は確定されません。

入団6年目、キャプテン4年目の金キャプテンにとっても、もちろんウイルスの世界的流行によるリーグ中止は初体験。

リーグ中止という事態に直面したチームの現在とは?未曾有の状況にどのように対処しているのか?

仲間を牽引する立場の金キャプテンに、ウイルス感染拡大防止の観点からオンラインでのインタビューを行い、チームと自身の現在、アークスファンの皆さまへメッセージを語ってもらいました。
(取材日:2020年3月26日)

今は気持ちをリフレッシュさせることを
心掛けて過ごしています

新型コロナウイルスの影響により、トップリーグの2020年シーズンが中止になってしまいました。

今まで経験したことがない形でリーグが中止になりました。
チームの調子は上がってきていたので、中止は残念でした。
ただ、こればかりはコントロールできることではありません。まずは健康第一です。

リーグ中止はご自身にとっても精神面でインパクトがあったと思います。

最初は受け入れることが難しかったですね。
個人としても調子が良かったですし、なかなか受け止めきれない部分はありました。

心の保ち方は難しかったです。ただ今は気持ちをリフレッシュさせることを心掛けて過ごしています。

チームはトレーニングをしているのでしょうか?

今は自主トレーニングの期間になっています。(オンライン取材日は3月26日)

クラブハウスは選手に開放されていて、社員選手は自宅でリモートワークを行っています。
個人的にはクラブハウスやパーソナルジムでトレーニングを行っています。基本的に身体は良い状態を保っています。

ラグビーは不測の事態が頻繁に起こるスポーツだと思いますが、いつもどのように対処しているのでしょうか?

まず、その問題が「コントロールできるか」「できないか」をしっかり分ける必要があります。
コントロールができる部分については、何をすればよいか行動計画を立てれば良いと思います。

ただ天気、天災、今回のウイルスなど、コントロールできないこともあります。
そこをしっかり区別して、できないものに関しては深く考えすぎないことを意識しています。

「こんな時だからこそ」という波を作らない。
経験から学んだ「僕は僕」の姿勢。

このような時期にキャプテンでいることは試練でもあり、貴重な経験とも言えます。
どのような心構えでチームメイトに接していますか?

僕は基本的にポジティブなので、そこは崩しません。いつも通りふるまうことが重要だと思っています。
「こんな時だからこそ」という波をつくると自分にとっては良くない、と分かっています。

ポジティブに行動しながら、自分の準備を変えずにやることを心掛けています。

過去に「こんな時だからこそ」と頑張ったことで失敗した経験があるのでしょうか?

(2016年に)シャイニングアークスのキャプテンになり、立場が変わりました。それから「キャプテンだから」と思っている時期が長くありました。
大学ではキャプテンでなかったので、キャプテン経験は高校以来でした。
久々だったので「自分が自分が」となってしまい、きつく声をかけたり、今までやっていないような行動をとったりもしていました。

自分ではない何かをかぶって仲間に接していました。そうすることでチームも良くならず、自分にもストレスをかけていました。

キャプテンだろうが、どのような状況だろうが「僕は僕」。
自分らしくいることが求められていると思いますし、その姿勢はいっさい変えません。

好調だった2020年シーズンを振り返る。
金キャプテンの実感。

好調だった今シーズンを振り返って頂きたいのですが、開幕戦は29-20で勝利しました。

開幕戦は地に足が付かない感じでした。
初めてトップリーグを戦う選手もたくさんいましたし、上手くいなかいことは分かっていました。
それでも勝ちきったことが重要です。

アークスは初戦を落としがちなチームでしたが、それを払拭できたのはすごく良いことでした。

大観衆の中おこなわれた開幕戦。
この試合で金選手は2トライを挙げ、マン・オブ・ザ・マッチ(MOM)が贈られた。

その後は惜敗が2つ続きます。第2節はサントリーに10-22、第3節はクボタに27-28でした。

第2、3節に関しては、負けはしましたが、課題や強みを再認識できた試合でした。

課題はディフェンス。そこを修正していき、自分達の強みであるスペースへのアタックができれば、かならず自分達が満足できる試合ができる――そんな学びがあった2試合でした。

それからは3連勝を飾ります。リコーに33-17、宗像サニックスに74-11、Hondaに14-13でした。

第4節から第6節までは勝ち続けることができたのは、第2、3節の負けから学んだことを活かせたからだと思います。

第5節は宗像サニックスを相手に大量得点(74得点)をしましたが、大量得点をした次の週は苦戦したり負けたりするもの。油断ではなく、リーダー陣の中でそこは想定していました。

さらにHonda戦では雨というコントロールできない条件があり、さらにラスト10分ではヴィリー(・ブリッツ)が退場するという予期せぬ事態もありました。

コントロールできない状況が続きましたが、その中でも落ち着き、勝ちを信じて闘いきりました。

ゲームだけを見ると醜い勝ち方だったかもしれません。しかし課題としていたディフェンスの部分で守り切ったという意味では、本当に良い勝ち方でした。
もしリーグが続いていたらあの試合が良い刺激になるのでは、と思っていただけに、これからも戦いたかった。
残念な気持ちです。

第6節 Honda HEAT戦にて

苦境でも前向きに活動。
シャイニングアークスのチーム文化。

アークスはこのような状況でも、ラグビー以外にできることを見つけて積極的に活動しています。

本当にそうですね。こういう状況になったからこそ、アスリート社員にしかできない活動があるはずです。
チームとしてSNSでラジオ体操を発信しましたが、ラグビー選手がやるだけで新鮮です。
外国人選手も協力してくれました。

素晴らしい活動だと思いますし、このような活動を採り入れられるのもシャイニングアークスの強みだと思います。

「Arcs-Break」と名付けた健康体操、トレーニングを社内のライブ配信ツールを使用して毎日配信している

ラグビーは本気でやりつつも、企業人、社会人としての活動にも力を入れる。
それがチームの文化なのでしょうか?

それは絶対にありますね。
ラグビーは期限付きで、あと何年やれるかも分からない。だからこそ、自分からラグビーを差し引いた時に何を残せるかを考えるべきです。

自分から何ができるかを考え、少しずつでもいいので行動していくことは、人としても必要な姿勢だと思います。
シャイニングアークスとしても、このような活動は今後も続けていきたいですね。

食に対するこだわりが詰まった
「きんめし」がSNSで大反響。

食事に大変なこだわりがあり、SNSで3月から始めた食事アドバイス「きんめし」が大好評ですね!始めたきっかけは何だったのですか?

もともと食事はとても気を遣っていました。スポーツ選手は食事にこう気を遣っていると発信して、それを共有すれば皆さんに喜んでもらえるかなと考えました。

自分の勉強のためにアウトプットすることで気づきが得られたら、という気持ちもありました。反響があったのでやってよかったと感じています。

これまでどんな嬉しい反応がありましたか?

リアルな部分では「魚中心の食生活にして体調が良くなった」「便秘が治りました」と言ってくれる人がいました。
レシピを載せて作ってくれた人もいます。そういう反応はめちゃめちゃ嬉しいです!

いまはリモートワークなどで自宅にこもりがちな人も多いかと思います。この状況でお薦めする食事はありますか?

僕がいつもおすすめしているのは魚料理です。

日本には魚を生で食べる文化があります。それだけ新鮮な魚がとれるのは日本の強みですよね。
魚は脂肪になりづらく、リモートワークで運動不足になっていても太りづらいです。
かつ健康でいられるので、素晴らしい食材だと思います。

先の見えない未来へ向けて。

5月23日よりトップリーグチームが参加する「日本選手権」。開催が検討されているようですが、先行きは不透明です。
(取材日:2020年3月26日。※4月2日に「第57回日本ラグビーフットボール選手権大会」開催中止の発表がありました)

もちろんまだ予想はできません。まずはもちろん健康第一、安全第一で過ごすことが一番必要です。
そこをしっかりやった上で、合流した時、しっかり戦える心の準備をしたいですね。

チーム自体は上り調子なので、またチームが一つになって、自分達のあるべき姿を見せたい。
僕たちは、たくさんの人に刺激を与えられるチームになりたいと思っています。

こういう状況だからこそ勇気、希望といった刺激を与えられるように頑張っていきたいです。

2019年W杯で日本代表が活躍したこともあり、ラグビーファン、そしてシャイニングアークスのファンが増えてくれました。

本当にめちゃくちゃ嬉しいです(笑)。
チームのモチベーションになっているので本当にありがたいです。

日本代表の頑張り、勇気に感銘をうけてファンになってくれた方がたくさんいて、シャイニングアークスとしてもやれることをやっていきたいという気持ちです。チームのSNSも頑張ってくれています。

できることをコツコツやってきたからこそファンの方が増えてくれて、試合にきてくれる方も増えています。
そんな良いサイクルができているので、そこは崩さずやっていきたいですね。

ただ試合で見せる姿が大きく影響すると思うので、ファンなど多くの方をインスパイアできるよう、最後まで戦い続ける姿を見せていけたらと思います。

では最後にアークスファンの皆さまへメッセージをお願いします。

まずは健康が第一です。そこは一番伝えたいです。

リーグが再開した時、ぜひ試合を会場まで観にきて頂けたら、熱い姿、刺激を与えられるような姿をひとつでも多く見せたいと思っています。

チームのSNSなど、ファンの皆さんに対する活動を増やしていきます。
そこでも皆さんと交流ができたら嬉しいです!