CloseUp Interview

クローズアップインタビュー

気になるアークス6年目の新・指揮官を直撃!

ヒュー・リース エドワードHC

2019年度シーズンの新・指揮官、ヒュー・リース エドワードHC(ヘッドコーチ)が登場!

前指揮官のもとでバックス(BK)コーチを5シーズン務め、6年目の今季よりHCに昇格。

南アフリカ・ダーバンに育ち、選手時代は主に大型フルバックとして活躍。現在スーパーラグビーに参加するシャークス(南アフリカ)で、‘95年までの14シーズンで165試合に出場。

“スプリングボクス”こと南アフリカ代表としては18試合を経験(テストマッチ3試合)した、名フルバックです。

コーチとしては、南アフリカ代表のアシスタントコーチ、シャークスのアシスタントコーチを務めるなど、母国でコーチキャリアを積んだのち、2014年にアークスBKコーチとして来日。

これまで5シーズンを共に過ごした選手たちとは、練習後にボールゲームに興じる間柄。趣味は路地裏散策という意外な素顔も。

優しい笑顔も印象的な新HC。今季の展望からプライベートまで、福島合宿中の合間を縫ってお話を伺いました。
(取材日:2019年5月10日)

ラグビースタイルに変更ナシも、
フィジカル強化で飛躍を目指す。

まず選手との関係ですが、練習後に一緒にボールゲームをするなど、とても仲が良いという印象があります。

仲良くやっていますよ。選手とは適切な距離は保ちますが、何か少しでも問題があればすぐに相談に来てくれるような、そういう状況を作っています。

5月のゴールデンウィーク明けから福島で5日間の合宿をしています。
今合宿の目的を教えてください。

リストにあるやるべきことをこなしていく、という感じですね。戦術の詰めなどを行っています。
ここへ至るまでに強度高く身体を当ててきたので、いまフォーカスしているのは、役割の確認、どういう動きをするか、といった部分です。

アークスはロブ・ペニー前HC時代の5年間、ボールを動かすラグビーをしてきました。このスタイルは今後も維持されるのでしょうか?

この5年間培ってきたスタイルはそんなに変えずにやってきたいと思います。
基本的には似たラグビーをすることになると思いますが、そこに身体の強さ、激しさを加えていきたいと思います。
さらにディフェンス、ラインアウトの向上ですね。その部分は改善の余地があると考えています。

身体の強さやディフェンス、ラインアウトがさらに向上すれば4強入りも見えてくる?

去年のスタッツ(統計数値)を見ていて、いま言った部分はゲームで大きな割合を占めるところなので、その数字を回復できれば良い試合ができると思います。

HCとしての哲学があれば教えてください。

スペースを攻めることです。基本的にその方針でやってきていて、ロブ(ペニー前HC)ともそこは同意して共にやってきました。

スペースをアタックすると、別のところにもスペースが生まれるので、またそこをアタックする、という感じです。

135試合出場はシャークス歴代トップクラス。
南アフリカ代表として18試合に出場。

ご自身の経歴ですが、まずご出身はどこでしょうか?

南アフリカのダーバンで育ちました。
両親はともに南アフリカ人です。母方は南アフリカ系統ですが、父方はウェールズ系統です。

ラグビー歴をお教えてください。

ラグビーを始めたのは13歳です。高校時代は地域のノースランズ高校でプレーしました。

19、20歳の頃は州代表のウエスタン・プロヴィンスでプレーして、21歳でプロ契約をしたあと、ダーバンに帰ってからずっとシャークスでプレーをしました。

南アフリカ代表としてもプレーされていますね。

テストマッチが3試合で、テストではない試合に15試合出ました。
昔の話ですが、だいたい9週間のツアーなら、週の真ん中にひとつゲームがあって、週末にテストマッチでした。

いつ選手を引退しましたか?

‘95年リタイヤして、すぐコーチになりました。

‘95年は南アフリカが母国初開催のワールドカップで初優勝した年です。
もうすこし現役を続けていれば、と思ったことは?

いやいや、歳を取っていました。引退した時は35歳でした。10歳若かったら、という感じです。

選手として26歳の時がピークだったと思いますが、初めて南アフリカ代表に選ばれたのは32歳でした。
キャリアの終盤でこんなことが起きるとはと、嬉しいサプライズでした。

165試合に出場したシャークスでの一番の思い出は?キャリアが長いので難しい質問だと思いますが・・・。

いや、簡単です。‘90年にカリーカップ(世界最古のラグビー国内選手権)で初優勝したことです。
その年はシャークスの100周年で、そんな記念の年に初優勝することができました。

シャークスのHCなどを歴任して育んだコーチ哲学。
「最終的には僕らもエンターテイナー」

‘95年に現役引退後、すぐにコーチとしてのキャリアが始まるわけですね。

‘95年に引退をして、まずシャークスのアシスタントコーチをしました。それが‘96年のこと。

そして‘97年から‘00年までスプリングボクス(南アフリカ代表)のアシスタントコーチ、‘00年からシャークスのアシスタントコーチをしました。

シャークスでのキャリアを積んだあと、すこし休んで高校のグレードに行きました。
最初は2年のつもりでしたが、結果的に5年間やりました。ウエストビル・ボーイズ・ハイスクールです。

国内トップチームのシャークスから高校生の指導へ。そこで学んだことは?

自分の持っているラグビーの哲学――「スペースを探してアタックする」ということが正しい、ということを確かめることができました。それを確かめるために学生のコーチングを選んだのです。
そこからまたシャークスに戻り、ジョン・プラントリー(日本では「プラムツリー」と表記/現ハリケーンズHC)のアシスタントコーチをやりました。その彼が退団するタイミングで、私も辞めることになりました。

その後ケンパーラ・ラグビークラブというチームへ行き、HCとしてナショナル・チャンピオンシップで優勝することができました。その次がシャイニングアークスです。

来日当初の日本ラグビーの印象は?

こちらへ来たとき、日本はパスをひとつしたらクラッシュするチームが多いなと思いました。それは自分の信じているラグビーとは違いました。
パスしてクラッシュというスタイルからワイドに展開したところ、選手がそれを気に入って取り組んでくれました。

最終的には僕らもエンターテイナーであって、お金を払って見に来てくれる観客の皆さんに、自分たちのラグビーを見せてあげる必要があります。

南アフリカは勝利すれば観客が増える、と思っているところがありますが、自分はそうではないと思っています。
人々が見たいと思うようなスタイルのラグビーをする。それが大事で、そうすれば人がたくさん来てくれる。

勝つことは重要ですが、見たいラグビーができれば結果がどうあれラグビーを観ることが好きで会場に足を運んでくれる。もちろん勝つために試合をしていますが、自分たちにどんなラグビーができるか、というところを考えてラグビーをしています。

休日の楽しみは夫婦でニッポンの路地裏探検。
浦安の行きつけは?

プライベートですが、本拠地の浦安での行きつけなどはありますか?

ケンズというお店です。10席くらいの小さな店ですが、お店の人が親切でよく行っています。
居酒屋のような感じです。
日本は安全面でも素晴らしいですし、本当に愛しています。僕は浦安でしか生活したことがないですが、楽しいですね。

休日はどこかへ出掛けたり?

僕はダーバン出身ですが、都会の人間ではありません。南アフリカにいる時は山だったり草原に行きます。
ダーバンの街は治安の面もあるので、都会にはほとんど行きません。
東京は治安が良いので足を運びます。いろいろな場所へ行くと、全然違う景色があることも素晴らしいです。
裏通りにある小さな料理屋に入ることも好きですね。

路地の居酒屋のようなところに入る?

夫婦で行きます。たとえば表参道は、メインストリートはとても美しいですが、ひとつ道を外れると街特有のものがあります。そうした路地のレストランは結構好きですね。

都会的な喧噪より、静かな場所が好みですか?

そうですね。自分のキャラクターを言うのはとても難しいですが、リラックスした、ゆっくりとしたものを好みます。ただ現在は仕事があって責任がある立場にあるので、その責任はしっかり果たしますよ。

サポーターが誇りに思えるような試合を。
指揮官の抱負。

アークスは6年目になりますが、今年の新加入選手はいかがですか?

ケガがある選手もおり、まだ全員を見きれていません(取材日は5月10日)。
ただ彼らに対して言いたいことは、フィールドに足を踏み入れたら全員平等ということです。シニアプレイヤーもいますが、フィールドに入ったらそうしたことはセレクションに影響しません。

ベテラン選手や先輩と同じぶんのチャンスを彼らに与えるつもりです。
パフォーマンスを披露した選手から使っていきます。練習や練習試合で何をチームにもたらすことができるのか、ということをぜひ見せてもらいたいです。

トップリーグのリーグ戦は2020年1月から始まる予定ですが、そこは考えず6月開幕のカップ戦を見据えているのでしょうか?

カップ戦の初戦(東芝戦)を目標にしています。
スーパーラグビーなどに参加する選手もおり、カップ戦は選手の数が少ないので、まずはケガがないようにと思っています。

カップ戦については、最終的に優勝するとかではなく、まず目の前の1試合にすべてを懸ける。
そしてまたその次にすべてを懸ける。一戦一戦にすべてを懸けることを考えています。
もうひとつ、選手がグラウンドにいた時に「絶対に勝たなければいけない」という気持ちではなく、「僕らのラグビーをしなければいけない」と思ってほしい。そこで上手くちゃんとプレーすることができれば、結果はついてきます。

カップ戦開幕まで練習試合がいくつかありますが、すべてがセレクションですか?

すべての試合がセレクションだと思っています。
ただ人数も限られているので、その中でもベストな選択をしていきたいと思います。

最後に今シーズンの意気込み、ファンの方へメッセージをお願いします。

トップリーグカップは短いシーズンです。
短い期間で僕らのラグビーを披露して、見ている観客の気持ちを高ぶらせて、喜ばせてあげられたらいいなと思います。

選手たちはあくまでもサポーターのために試合をしています。ラグビーチーム、選手である以上、何のためにプレーをしているのかがないチームはダメだと思っています。
たとえば会社の人が誇りに思えるような、そういった試合をしたいと思っています。

最後にもうひとつ、座右の銘があれば教えてください。

「No regrets」(後悔せず)です。

本日はありがとうございました!

ありがとうございました。