CloseUp Interview

クローズアップインタビュー

熱戦の舞台裏など秘話満載!

羽野一志

アークスが誇るオリンピアン、フルバックの羽野一志選手。怪我から復帰した2018年度のトップリーグでは、総合順位に関わる全試合(リーグ戦7試合+順位決定トーナメント3試合)に出場。復活を遂げました。

愛知県名古屋市出身の27歳。2016年にセブンズ男子日本代表としてリオデジャネイロ五輪に参加し、あのニュージーランド代表を破るなど、大きな話題を集めて4位入りに貢献。

正確なキッカーでもある身長185cmのパワフルランナーは、2018年シーズンをどう振り返るのでしょう?!気になる今後の目標についてもお聞きしました!(インタビュー日:2018年12月18日)

ケガを乗り越え復活。
栗原スキルコーチとの取り組みなどが結実。

2017年シーズンは大きなケガをいくつも経験しましたが、2018年は総合順位に関わる全試合に出場しました。

2017年は、開幕戦のリコー戦(2017年8月18日)で足首をケガして、11月のウィンドウマンス(代表活動期間)では、千葉合宿で味方とぶつかって眼窩底骨折をしました。開幕戦のケガは治っていたんですけど、その翌週の試合に出ることはできなくなりました。

それで(怪我明けの)豊田自動織機戦(2018年1月6日/順位決定トーナメント1節)では、キックチェイスしてタックルをしたら、その上に味方が走り込んできて前腕を骨折しました。こんなにケガが続いたシーズンはないですね。

2017-2018シーズ 総合順位決定トーナメント第1節豊田自動織機シャトルズ戦での羽野選手

これだけケガが続くと、お祓いをしたくなりませんか?

地元が名古屋なので、熱田神宮でお祓いをしました。
味方にもやられていたんでね(笑)。これはお祓いだなと思って。

それまでで一番大きなケガというと?

大学4年の最後の試合で腎臓破裂をしました。

腎臓破裂!?

大学選手権の早稲田大学戦。4年生で大学最後の試合でした。後半10分くらいに背中にタックル入られて痛かったんですけど、「打撲かな」と思ってやり続けたんですよ(笑)。

でも試合が終わったら「くちびる青いよ」と言われて、血尿が出ました。それですぐ救急車です。出血があれば開腹して手術だったんですが、出血が止まったので、安静で治りました。

ケガが続いた2017年シーズンですが、どのようなことに取り組んでいたのですか?

やれることはやろうと思って、栗原さん(徹スキルコーチ)と『どうしたらケガをしないようなプレースタイルを確立できるか』を模索しました。

僕は迷ったら人に当たりに行くプレースタイルでケガが多かったので、栗原さんにケガをしないプレーを教えてもらい、プレーの幅が広がりました。

今シーズンは個人として全試合に出場して、大きなケガもありませんでした。去年栗原さんから学んだことが結果として出たと思いますし、充実したシーズンでした。

アツかった2018年シーズンを振り返る!
序盤戦では「日野戦が一番チームとして成長」

チーム過去最高の5位に並んだ2018年シーズンですが、開幕節の神戸製鋼(27-34)、第2節サントリー戦(18-20)と連敗からのスタートとなりました。

自分たちのラグビーが通用したかというと――神戸製鋼戦には相手にイエローカードが2枚出ましたが、勝ちきれませんでした。ただネガティブではなかったですね。スタッフも褒めていました。「しっかり気持ちも入っていた」と。

第3節は豊田自動織機に64-26で大勝。第4節は日野に45-28と勝って、勝敗を2勝2敗の五分に戻しました。

豊田自動織機と日野には勝たないといけないと思っていました。ただ織機さんは毎年良い勝負をするんですよ。自分たちのラグビーができないということが2年くらい続いていました。

試合前は織機さんのバックスが全員海外出身選手だったので、それを見たときに「勝ちにきているな」と思いました。ただ試合では勝つことができたので良かったです。

日野戦はレッドカードが出てしまって、それを補うためにもう一人イエローカードが出て、13人で戦った試合でした。おいおい、バックスのラインが3枚しかいないぞと(笑)。どうするどうするという(笑)。

ただ、しっかりディフェンスも粘ることができましたし、アタックも継続することができました。日野戦が一番チームとして成長した試合じゃないですかね。13人になっても勝ったことは本当に大きかったと思います。

第4節日野レッドドルフィンズ戦での羽野選手

「やっぱりウチは右肩上がりですよ。成長しています」

第5節ではNECに31-34、第6節はトヨタ自動車に36-38と惜敗が続きます。

NECさんはその前のサントリー戦で良い試合をしていました。NEC戦の会場は相手のホームだったんですけど、それも少し分が悪かったかなと思います。僕はまったくアウェーを気にしませんが、相手は開始から勢いが違いましたね。

トヨタさんは強かったです。フォワードもバックスも。外国人選手が強かったですね。

2018年度はリーグ全体として海外プロ選手の活躍が目立ちましたが、アークスは社員選手もしっかり活躍しています。

うちは社員選手をとても大事にするチームですし、社員選手が活躍できるようなチームを目指していると思います。社員選手が活躍していた方が企業スポーツは盛り上がると思っています。

そして第7節はスクラムで完勝した宗像サニックス戦でした。31-12で勝利。カンファレンス4位で8強によるトーナメント進出を決めました。

宗像サニックス戦はやっぱり明らかにスクラムで優勢だったので、本当にフォワードのおかげだと思います。

どちらかというと、うちはスクラムが弱いチームだったので。展士さん(斉藤スクラムコーチ)がコーチになって変わりました。スクラムのターンオーバー率(相手ボールスクラムを奪う確率)が1位だというので、「1位や」と自慢げに言っていました(笑)。

フォワードが力をつけたから、今シーズンの5位という成績があると思いますよ。ただバックスも突破、ゲインメーターも多いんです。やっぱりウチは成長していますよ。右肩上がりです。

トップリーグ中断期間の11月には、ニュージーランド代表(オールブラックス)が来日してアークス浦安パークで練習。羽野選手は石橋選手らと共に練習相手に選抜され、オールブラックスの練習に参加しましたね。

彼らは試合前だったので、なるべく迷惑をかけないでおこうと思っていました。「僕ら日本人が入ってどう思っているのかなあ」と思いつつ練習したんですけど、すごく優しくて、フレンドリーに迎え入れてくれました。

彼らは難しいことやっているわけではありません。練習時間も短かった。ただスキルはすごく高いです。フォワードもバックスも。

もちろん彼らもミスはしますが、それでもここぞという時に決められることが、強さの理由だと思います。

オールブラックスと練習中の羽野選手
(練習の様子は近日公開予定!)

12月のトーナメント3連戦。
パナソニック戦は「神懸かっていた」。

12月からは8強による順位決定トーナメントが始まりました。1回戦はアウェーでヤマハ発動機に21-33で敗れ、4強進出はなりませんでした。

良い準備はできたと思います。プランも結構あって、前半からけっこうイケていたんですが、やはりシンビン(10分間の一時退出)があると厳しいですね。規律を守ろうということはシーズンを通してずっとやってきたのですが。

しかしここからアークスは2連勝。まずはクボタに36-13で快勝します。

クボタさんはなぜか元気がなかったです。サントリーとの試合(クボタ●26-28○サントリー)で全てを出してしまったんですかね……。やりながら「どうした」と思っていました(笑)。

そして年内最終戦のパナソニック戦。相手が後半ロスタイムにPGを外し、劇的勝利でチーム過去最高の5位を決めました。

パナソニックさんは一人ひとり強いプレイヤーがいるので、僕たちはしっかりまとまって戦おうと。
向こうが「個」で来るのであればこちらはチームワークだという話が出ていました。相手は主力にケガが多かったので「イケるぞ」とも言っていました。

序盤に10点を取られたところから、アークスが5連続トライ。その要因はどこに?

気がついたら取っていたというか。もちろん崩して取ったトライもありました。ただ、これまでウチは運に見放されていたんですけど、ツイていましたね。

湯本(睦/SH)がキックチャージからトライを取るんですが、チャージしたボールを取って60メートル走り切る、なんてトライはまずないですからね。あとシェーン(・ゲイツ/CTB)もボールをもぎ取って、そのままトライしました。

パナソニックワイルドナイツ戦で、シェーン選手がトライを決めた直後

確かに。どちらもほとんど見たことのないトライパターンですね。

そして勇輝(石井/WTB)が、あんなに綺麗にトライを決めた。

後半37分、スクラムからのサインプレーで取った同点トライですね。

あのサインプレーはあんなに綺麗に決まったことはないです。あれが初めてです。最後のPGのこともそうですし、神懸かっていましたね。

後半ロスタイム。相手に入れば敗戦となるPGを狙われるわけですが、この場面で、石井魁選手、小倉順平選手と3人で笑いながら話をしていたそうですね?

「ラグビー面白いな」と笑い合っていました(笑)。これだけトライして(5連続トライ)して、逆にトライを取られて(失5連続トライ)、最後にPGを狙われるって、めちゃめちゃ面白いなと。

あとはキックが決まるか決まらないかで、僕がコントロールできることではありませんでしたし。ラストワンプレーだし、僕がやれることはやりました。僕が笑っていようが、泣きわめこうが、決まる時は決まります。「これで決まればキッカーの松田選手(パナソニック)がヒーローだし、外れれば勇輝(石井/WTB)がヒーローだな」と笑いながら喋っていました。

そしてキックが外れ、劇的な勝利を収めました。これまでのキャリアで、今回のパナソニック戦はベスト10に入りますか?

20位くらいじゃないですかね(笑)。ゲーム展開として、あれだけリードして今度は相手にいいようにやられて、最後は相手がキックを外して勝つ、というすっきりしない終わり方(笑)。

ただ勝って終わることができたことは良かったと思いますね。まるで優勝した雰囲気でしたから(笑)。

視界に2020年東京五輪。
困難な道へふたたび挑戦。

2016年、7人制男子日本代表として参加したリオデジャネイロ五輪では、惜しくも4位でした。やはり掛けられなかったメダルは意識しますか?

リオ五輪を経験した僕から言うと、メダルは簡単ではありません。

初戦ではあのニュージーランドにも勝ちましたし、フランスにも勝ったと思うのですが、それでもメダルは遠いですか?

ニュージーランド戦は、相手がオリンピックの舞台をあまり経験していなかったから硬くなるんじゃないかということを踏まえて、僕らは“牛歩戦術”といって、スローペースでラグビーを続けました。

ロースコアに持ち込んで、相手を慌てさせる。「こんなはずじゃない」と焦らせてミスを誘うという戦術が、うまい具合にハマりました。でもそれはもう使ってしまったので(笑)。

ニュージーランド戦後は、イギリスに負けたもののケニア、フランスに勝利。トーナメントでフィジーに負け、3位決定戦で南アフリカに負けて4位でした。

ケニア、フランスに勝って「ニュージーランドに勝った僕らだったらいける」とめちゃくちゃノリノリでした(笑)。「セブンズ楽しいな」みたいな(笑)。

ただ勝てばメダル確定だったフィジー戦は、スコア以上の力の差で負けて、3位決定戦で南アフリカに負けました。

アメリカやオーストラリアが他のグループだったこともありました。とても運が良くて4位でしたね。

では今後の長期目標は?

一番は大きい怪我をしないことです。

ズバリ、2020年の東京五輪は意識していますか?

来年日本でやるワールドカップのチャンスがなければ、すぐにセブンズ(日本代表)で東京五輪を目指したいと思っています。

ありがとうございます。今後の活躍を楽しみにしています!では最後にファンの皆さまへメッセージをお願いします。

いつも応援して頂いてありがとうございます。

今シーズンは怪我がなく終えて、チームに貢献できたと思います。1月のカップ戦も残っているので、そちらもよろしくお願いします。ありがとうございました。