センター
石橋拓也Takuya Ishibashi
絶妙なステップワークと精確なタックル。アークスの中心選手のひとりとして活躍する石橋選手は、身長182センチ、体重93キロの25歳。
トップリーグでは2016年度シーズンは14試合に先発出場、今シーズンも(第11節終了時点で)全試合に先発出場中。不動のセンターとして貢献を続けています。
福岡県北九州市出身で、小倉高校から慶應義塾大学へ。高校日本代表やU20日本代表など各世代の代表に選ばれ、日本代表でも4キャップを獲得。
さらなる成長が期待される石橋選手に、11月の千葉合宿の最中にお話を伺うことができました。
優勝候補である東福岡高校に敗れはしたものの、母校である小倉高校が、14年ぶりに花園予選の福岡県決勝に進出しました。
観に行くことはできませんでしたが、惜しかったです!今年は強かったようです。僕たちの代は福岡高校に負けてベスト8でした。
さて現在は中断期間中のトップリーグですが(取材日は11月下旬)、まずは第9節までの戦いを振り返ってください。
チームのシステムがしっかり機能した時は、チームに良い流れができています。勝った試合はチームのシステムがしっかり守れていました。
「みんなが一貫してシステムを貫き通すことができれば僕たちは強いんだな」ということを理解できた前半節でした。
システムを守れば強い、と確信できたことはチームとして大きいのでは?
そうですね。選手間でミーティングを行った時に、自分達のシステムを守れたり発揮できたりすればうちは強い、ということはみんなが言っていました。
強味の理解の部分で、前半節はすごく収穫があったと思います。
システムを守れないという時というのは、どんな時なのですか?
フォワード(FW)とバックス(BK)が噛み合わなかった時などです。また、一人が理解できていないと一気に崩れてしまうことがあります。
FW・BKが一体となった時に僕らは強いので、FW・BKがリンクできるようにすることが大事になってくると思います。
チームの成長度はいかがですか?
ウインドウマンス(11月の代表活動期間)の前などはミスが多く、チームの雰囲気が悪くなることもありました。しかしリーダーグループの話し合いによって「ミスをした時はこういう声をかけよう」「前半の入り良くしよう」と、改善するポイントを伝えています。
その結果、練習も入りから良くなっています。最後のチームアタックになるとみんな集中力高く、ミスも少なくできています。意識が変わってきていると思います。
ご自身の第9節までのプレーを振り返ると?
僕もチームのシステムが守れなかった時などに、あまり良いプレーができていませんでした。「僕自身のプレーも、チームのシステムに影響されやすいんだな」と気づきました。
去年と違うところは去年まではただガムシャラにプレーしていたのですが、今年は考えてプレーするようになりました。そこは成長した部分だと思います。
成長につながる気づきがあったのですね。
社会人1年目は周りの人たちにただついていくだけというか、活かされて自分が持ち味を発揮できていた、という認識でした。
今年はみんなから意見を聞くようになり、また落ち着いていた時に、周りも活かせるし自分も活きる、という場面がよくありました。
あらためて、熱くなった時と落ち着いた時のプレーに差があるんだな、と感じことは大きいなと思います。
どうやって抜け出したのか分からないほど見事なステップワークを披露されていますが、その技術は中学生や高校生にも伝えられるものなのですか?
感覚的な部分が大きいのですが、ただ「相手がどういう体勢の時はどちらが弱い」ということは分かると思います。そういう部分では教えられることがあるかもしれません。
相手の重心を見て動く。まるで柔道のような世界ですね。
そうですね、柔道みたいな感じで、“自分がどっちにステップを踏んだ時に、相手がどっちに体が向いているか”というところも意識して見ています。相手の身体の向きによって、ステップを切る位置も変わってきます。
その感覚さえ伝えることができれば、きっと他の人でも(ステップを)切れるようになると思います。
今シーズンのご自身のベストプレーは?
僕が一番見て欲しいプレーはステップワーク、アジリティの部分です。
自分としては、NTTドコモ戦で、種本(直人)さんが抜けたシーンです。(後半5分)
僕がパスをもらってちょっとステップを踏んで、一人置き去りにしたところとかは、自分の持ち味が出ていたかなと思います。
休みの週があったと思いますが、どこかに息抜きへ出掛けましたか?
実家がある福岡に帰省しました。ちょうど帰省時に世界選抜の試合(vs.日本代表)があり、ヴィリー(・ブリッツ)が出ていたので観に行きました。刺激をもらいました。
世界選抜の試合のあと、たまたま飲み屋で世界選抜のメンバーと飲む機会がありました。
ヴィリーが取り持ってくれて、世界選抜のベリック・バーンズ(パナソニック)とか、アンドリュー・エリス(神戸製鋼)らと話ができました。すごく良い経験ができました。
ヴィンス・アソ(ハリケーンズ)は行動に“パンチ”があり、規格外だったので好きになりました(笑)。
これからウィンドウマンスが明けて第10節の神戸製鋼戦を迎えますが、チーム状況はいかがですか?
いまは神戸製鋼戦のことしか話をしていません。とりあえず神戸に勝たないと上位に入ることは難しくなってきます(結果は28-28で今季初のドロー)。
神戸さんの弱み、強みをみんなが理解して、ではどうすればよいかということを話し合っています。その意識の部分ではチームは良い方向へ向かっていると思います。
日本代表のセンターは、海外出身選手を含めて層の厚いポジションです。日本代表へ向けての想いはありますか?
いま(日本代表に)選ばれている方と比べ、自分に足りないところはスキルの部分が大きいと思っています。
最近はキックもパスもすごく練習をしていて、自分的には上手くなっている自信はあります。ただ、それでもまだ足りないので、スキルの部分を高めることと小倉(順平)とよく一緒にいてラグビーの話をするのですが、「イメージが大事」という話をよくされます。
スキルを高めて、イメージをしっかり持つことができれば、いまの日本代表に少しでも近づけるのかなと思います。
最後に、後半戦へ向けてファンの皆さまへメッセージをお願いします!
やはり勝つ試合を観ることが皆さんも一番楽しいと思うので、まずは絶対に試合に勝ちたいです。あとは、できれば(背番号)12番を見ていてほしいなと思います!
真面目な人柄で質問に一つひとつ丁寧に答えてくれた石橋選手。
攻守に活躍するアークス自慢のセンターは、まだ25歳。これから益々の存在感を放っていくであろう石橋選手のさらなる飛躍、進化を期待せずにはいられません。