CloseUp Interview

クローズアップインタビュー

スタンドオフ

小倉 順平Jumpei Ogura

2017年3月の第3節チーターズ戦でスーパーラグビーデビューを果たし、4月には日本代表初キャップを獲得。一段と頼もしくなったシャイニングアークスの司令塔はまさに伸び盛り。6月の日本代表メンバーにも選出された小倉選手に、刺激的な日々をたっぷりと語ってもらいました。

2017年6月の日本代表メンバーに選出。
「一日一日を大事に」

2017年は、南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」や、アジア最高峰大会「アジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)」に参加。昨年のトップリーグから、ほとんど休みなくプレーを続けていますね。

パフォーマンスを維持する・向上させるという部分が、僕はもう少し必要なのかなと思っています。試合に出ないことで(パフォーマンスが)落ちる人もいますし、上がる人もいます。そういう人たちを見て、いろいろ吸収していきたいですね。

試合に出ていないと調子が落ちてしまう方ですか?

そうですね。(日本代表に招集された)去年の11月も、パフォーマンスが落ちてしまいました。トップリーグの後半節は、たぶん前半節の半分くらいしか得点を取っていないんですよね。露骨に自分でも分かるくらい調子が落ちてしまいます。そこの修正は、絶対に必要だなと思います。

日本代表として参加した昨秋のウィンドウマンス(国際交流期間)では、4試合あったテストマッチ(アルゼンチン代表戦、ジョージア代表戦、ウェールズ代表戦、フィジー代表戦)への出場はありませんでした。

最後は試合に出られないことが当たり前になっていました。今回、また選ばれたことを前向きに捉えて、これから自分がどうするかですね。

ちょうど昨日(インタビューは5月30日実施)、6月のルーマニア代表戦、アイルランド代表戦へ向けた日本代表メンバー33名が発表され、チームメイトのNO8アマナキ・レレイ・マフィ選手と共に日本代表に選出されました。招集の知らせを聞いたのはいつですか?

サンウルブズの試合後(第14節チーターズ戦)、日本代表のチームマネージャーの方から教えてもらいました。

知らせを聞いた時の気持ちは?

嬉しかったですね。でも、ここからが始まりなので。2019年(ワールドカップ日本大会)まで、ずっとしがみついてやっていけるのかどうかだと思っています。ダメだったらいくらでも代わりがいるので。

日本代表のスタンドオフ争いは熾烈ですね。

そうですね。特に若い選手、山沢(拓也/パナソニック)君もそうですし。常に残っていられる状況ではないので、練習や試合でどれだけ見せられるか、出せるか。一日一日を大事にしていきたいですね。

トップリーグも重要なアピールの場のひとつですね。

そうですね。そこでパフォーマンスが良くなければ、先はないと思います。常にパフォーマンスを維持しなければいけないところが、確かに、大変なところかもしれません。

現在のコンディションはいかがでしょう?

全然大丈夫です。

スーパーラグビーで貴重な経験。
南アフリカはカルチャーショック

2017年はスーパーラグビー参戦2年目のサンウルブズ(日本)に初参加。招集への返事は迷いなく?

それはもう、チャレンジとして。NTTコムのためでもありますし。自分の成長がチームの成長にもつながると思っているので、迷いはなかったです。

シャイニングアークスとサンウルブズ。ラグビースタイルは全然違いますか?

大きな違いはないです。NTTコムはニュージーランド出身の監督(ロブ・ペニー ヘッドコーチ=HC)ですし、ジェイミー(・ジョセフ日本代表HC)も、サンウルブズの監督(フィロ・ティアティアHC)もニュージーランド出身です。馴染みやすかったですね。

アタックは10番(スタンドオフ)が中心となってボールを動かすスタイルですか?

基本的には9番(スクラムハーフ)からのシェイプですが、10番からのシェイプの時もあります。そこは相手に合わせてやっています。

第3節チーターズ(南アフリカ)戦で後半17分から途中出場。本職ではないセンターで、スーパーラグビーデビューを飾りました。

怪我人がすごく出ますし、トップリーグのように戦術的な交代が少ない、というか。怪我したから出る、ということがすごく多いです。それを初戦でとても感じました。

やはり南アフリカ勢はフィジカルが強い?

強いのですが、あまりステップを切らずにドーンとくるので。日本人はみんなステップを切るので、その部分ではあまりきつくは感じなかったです。

2試合を戦った南アフリカ遠征で、一番楽しかった思い出というと?

南アフリカは「外に出ちゃいけない」と言われるんですよね…(笑)。最初にミーティングがあって、南アフリカのコーディネーターの方から「危ない」ということをいろいろ言われました。「本当に死ぬよ」みたいな感じで言われたので、遊ぶとか、そういうことは全くなかったです。(外出は)ご飯とか、最低限の時だけで、それもホテルの敷地内なので。

リラックスできませんね(笑)

「部屋も開けておかないように」と言われるくらいなので。あとは、ルームクリーニングの時はカバンは閉めておく、クレジットカードの支払いは目の前で、とか。僕らの前にワラタス(オーストラリア)かどこかが試合をしていて、試合中にロッカールームから7人分の財布を盗まれたみたいなんです。

カルチャーショックですね。

すごいですよね(笑)。日本は本当にすごいんだなと思います。海外はルームキーに番号が書いていないですからね。落としたら部屋に入れちゃうので。

南アフリカでの食事はいかがでしたか?

日本と比べたらダメですけど、やっぱり偏りはあります。ただ現地で食べられるものをしっかり食べて、栄養を摂らないとやっていけないので、食べるようにはしています。

南アフリカ遠征から準ホームのシンガポールに戻って、第5節ストーマーズ戦で先発デビュー。とても落ち着いているように見えました。

どんな試合でも、緊張は一切しないんですよね…。

どうして緊張しないのでしょう?

試合にはやってきたことしか出ないので、緊張したところで、やっていないことはできません。できることは自分がグラウンドでやってきたことなので。ほどよい緊張感が良いという話も聞いたことがあるので、良いのかは分からないです。

日本代表デビュー、そしてブエノスアイレスへ

4月下旬、今度は日本代表としてアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)に参加。第1戦の韓国代表戦で日本代表初キャップを獲得しました。

サンウルブズの遠征(ニュージーランド・アルゼンチン遠征)に帯同しないサンウルブズの選手で、誰だれはARCに出て欲しい、という声かけだったと思います。

ARCでの日本代表でも、やることは変わらなかったですか?

そこは連携してやっていこうという話なので。サインプレーの名前もけっこう同じですし。そこの行き来に関しての苦労は、あまりなかったです。

ARCで韓国との2連戦に先発出場した後、怪我人続出のサンウルブズに呼び戻され、アルゼンチンのブエノスアイレスへ向かいました。移動時間はどのくらいでしたか?

33時間くらいでした。成田から、ドバイ(アラブ首長国連邦)、リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)を経由して、そこからアルゼンチンでした。でも楽しかったです。

移動は大変ではなかった?

移動に関してのストレスはあまりないです。寝て、映画見て、ゲームをして。30時間くらいならストレスを感じないです。

アルゼンチンは初訪問でしたか?

アルゼンチンは初めてでした。蚊が多いです。やばいです。あんなに蚊が人に集まるところは見たことないです。

ジャガーズ(アルゼンチン)との試合中も蚊が多かった?

試合は夕方だったので大丈夫だったのですが、昼の練習の時は本当に気になって、一カ所に立っていられなかったです。

合流したサンウルブズは、ジャガーズ戦の前にニュージーランドの強豪3チームとアウェー3連戦を戦っていました。ニュージーランド勢について、伝え聞いた話はありますか?

南アフリカは「身体が強い」ということが特徴的で、「上手い」という話は出ないんですよね。でもニュージーランドは「強くて上手い」と。あと、大抵は「ここが穴」という部分があるのですが、「ニュージーランドのチームは穴がない」ということも聞きました。

連携する日本代表と同じく、サンウルブズでも戦略的なキックを多用しています。キックをすることの多いスタンドオフは、重責を担っていますね。

確かにキックの使い方・使いどころ、あとキックの長短の使い方はかなり言われます。チームとしてもそういう練習をしているので、それが試合でどれだけ上手くやれるか、というところが試合に直結します。

(サンウルブズは)やることも明確ですし、コーチからの投げかけも明確です。チームとしてやることは明確なんですが、それが上手く結果に出ないことが毎回で、最近は(試合の)最後に失点をすることが多いです。次はジャパンになりますが、そこをどう修正していくのかは重要なのかなと思います。

「もっと上に行けるチーム」
アークスと共にさらなる高みへ

トップリーグですが、昨年の後半節は、小倉選手がスタンドオフを務め、南アフリカ代表で10番を付けているエルトン・ヤンチース選手がセンターで出場する試合もありました。

(後半節の)最初の試合は僕がセンターだったんですが、その後はスタンドオフでした。やっぱり日本のチームなので、日本語が話せることが有利だったのかなと思います。エルトン(・ヤンチース)とはずっと一緒にやってきていますが、一つひとつのプレーが参考になります。キックをとっても、ランをとっても。

ヤンチース選手からいろいろ教わっている?

エルトンとはよく話しますね。すごく参考にしていて、分からないことは訊いたりしています。明らかに知識がありますし、新しいことを吸収できます。

チーム史上最高位(5位)だった昨シーズンをどう捉えていますか?

いつもNTTコムは最後にチームのパフォーマンスが落ちてくる傾向があったので、過去最高の5位だったことは良いことだと捉えています。ですが、実際はもっと上にいけるチームだと思っているので、今年どれだけできるかということを今は考えています。

社内での盛り上がりはいかがですか?

同じ部署の人は「頑張ってね」とよく言ってくれます。もっと注目されるように頑張りたいです。

特に応援してくれる方は?

本部長が応援団に所属していて、毎回試合に来てくれます。来られていない試合は(シーズンで)1、2試合じゃないですかね。いつも最前列でジャージを着て、いつも試合後に声を掛けてくれて…。頭が上がりません。

モチベーションになりますね。

すごく忙しい方なのに、週末になったら自分のオフを削って試合に来てくれて。それで残念な試合をしてしまったら…。そういった方のためにも頑張りたいです。

NTTコムでは3年目を迎え、中堅の入口に差し掛かっていますね。

とても楽しいのですが、プロ選手があまりいないチームなので、もう少し意識を高くやっていきたいです。みんな会社に行っているので大変なのですが、そこは切磋琢磨してやっていきたいと思います。

昨シーズンのベスト4(サントリー、ヤマハ発動機、パナソニック、神戸製鋼)との差があるとしたら、何でしょう?

上のチームは“競るけど負けない”。NTTコムは順位が離れた相手でも、簡単に負ける時があります。僕がダメな時もありますし。そういう部分をなくしていかないとポイントが取れないので、全試合で勝ちにこだわっていく必要があると思います。

最後になりました。それではファンの皆さまへメッセージを。

毎回応援して下さり、会場では試合後に声を掛けて頂いて、ありがたく思っています。今季はチームとしても個人としても飛躍して、注目されるチームになりたいと思うので、これからも応援よろしくお願い致します。